陽西中学校出身 東京外国語大学 外国語学部 現役合格
- これから初めての大学受験を迎える後輩のみなさんのために、私の受験体験を交えながら、アドバイスします。それぞれの今の状況と照らし合わせて、受験本番までに自分がすべきことをイメージしていただけたら幸いです。文星英進科の先輩として、みなさんの成功を楽しみにしています。
苦手のあれこれ
- ・苦手は克服できる
- 入学当初、私は国語が大の苦手でした。問題を読んでも意味が分からない。どうも自分にはセンスがないようだと思って落ち込みました。しかし、受験前までには、国語がどんどん好きになっていました。どうしてそうなったのか説明します。まず私は、すぐに先生に国語が苦手なことを相談しました。そこで、日常的に本を読むようにアドバイスを受けました。進んで本を読むことなどなかった私には、かなり抵抗感がありました。それでも、高校に入ったばかりでしたから、「とにかく何かしたい!」という気持ちで、手当たりしだい、本を読み始めました。最初に読んだのが、川端康成の『伊豆の踊子』だったことをよく覚えています。普段本を読んでいないと、言葉の意味が分からなくて悔しい。だから、分からない言葉に出会ったら、その都度辞書を引き、一つ残さずつぶしていくことにしました。最初は本を読む時間より、辞書を眺めている時間のほうが、長かったです。それでも、自分のボキャブラリーが、日に日に増えていくのは楽しいものでした。そのうち私は、本だけでなく、日常の生活の中で気になった言葉は、すぐ調べるような癖ができました。これはのちに、英語の上達にも非常に役に立ったのだと思います。本を読むのが好きになると、文章をみて嫌気がさすようなことはなくなりました。それから、授業は積極的に発表、質問をするよう心がけました。自分の意見を明確にして、間違いを気にせず発言しました。訂正されれば、何が悪かったのか強く印象に残る。合っていれば、それは自信になる。いずれにせよ、思考を活発にすることで、国語的な感覚が自然に身についていきました。
良き師、良き友、長時間
- ・先生をフル活用する
- 大学での友達に、それぞれの高校時代の話を聞いていると、自分がいかに良い環境で勉強していたのかを痛感します。文星の先生陣の質は本当に素晴らしいです。そんな先生方から学べるということは、皆さんの誇りとなるでしょう。しかし、生徒自身が何もしなければ、意味がありません。出された課題をこなすだけ、という受け身の姿勢ではなく、皆さんから先生にアプローチしてください。私の場合、初めのうちはちょっとした質問をする程度でした。そして基礎が分かってくると、せっかくならレベルの高い質問をしようと意識するようになりました。先生と議論できるようなときがあると、また楽しいです。さらに、予期していない+αのことまで教えていただけることも、多くありました。質問だけではなく進路相談も、まめにすると良いと思います。受験期には必然的に進路相談を受けることになりますが、ぜひもっと前の段階で、一度相談してみてください。これは後半で触れる自分の夢について考えることにもつながります。先生方は大学受験のプロです。だから、皆さんは大船に乗ったつもりで、先生方のアドバイスを素直に聞くことができます。
- ・よきライバルを持つ
- ここでいうライバルとは、打ち負かしてやろうという対象ではなく、互いに切磋琢磨していく仲間のことです。私は、やる気が出なかったり、勉強で行き詰ったりした時には、よく彼らのことを考えていました。世界史の年代をすらすら言える人、休み時間にも黙々と勉強できる人、数学がとてもできる人。皆それぞれに良いところを持っていました。初めはもちろん、自分ができないことを悔しいと思いました。しかし、それ以上にどうして彼らはうまくいっているのか考えるようにしました。直接話してコツを聞いたり、アドバイスをもらったりして、スキルをどんどん自分のものにしました。また、お互いに質問、議論することも有意義です。そして何より、受験間近になってくると、悩みの相談相手となってくれました。先生と話すより、気軽なこともあります。学校に来て、仲間と一緒に高めあっていく意味がここにあると思います。私は、最高の仲間に出会えてうれしかったです。
- ・繰り返しの大切さ
- すべての勉強には基礎が大切だと何度も述べましたが、その基礎の勉強というのは大抵、単純に暗記する作業が中心となります。そこで必要となるのは、繰り返しの学習です。もうご存知かと思いますが、例えば問題集なら、何冊もこなそうとしないで、1冊だけを完璧になるまで解き続けるということです。私は実際、速読英単語シリーズを10回以上はやり直しましたし、世界史の教科書は、読みながら重要単語の書き取りを3回、通読を5回しました(世界史は特に暗記が重要です)。しかし、繰り返し学習には、相当の時間がかかります。これは避けられないことですし、むしろ時間をかけてやるべきことです。だからこそ、スタートをおろそかにしないでほしい。あわてて始めた時には、もう時間はほとんどないのです。繰り返し学習のもう一つの問題は、途中で飽きがくることです。これに対して私は毎回、何かしら違う方法で勉強するよう心がけました。先ほどの例でいえば、速読英単語で2回目は赤シートを使ったり、3回目はオーバーラッピングの練習をしてみたり…という具合に進めました。世界史は某学習ゲームソフトも試してみました。
受験へ向けて
- ・夢を持つ
- 文星では、1年生の時から総合学習の時間を通して、自分の進路について考える機会があります。そのひとつに、職業調査がありました。私は当時、将来就きたいと思う職業がはっきりしていませんでした。正確に言うと、興味のある職業がありすぎて、どうしようもなくなっている状態でした。周りを見回せば、しっかりと夢を持っている人が多く、一人だけ置いていかれているような気持がしました。一生にかかわる問題を、そう簡単に決めることはできないというのが、その時の私の考えでした。結局、将来の夢は漠然としたまま、理系、文系の選択を迎えました。結果的に理系を選択したのですが、苦手な数学から逃げるのが嫌だったことが、一番の決定要因だったと思います。正直、夢があっても、なくても、変わりはないだろうと思っていました。しかしその考えは、間違いだったと受験直前期になって気がつきました。3年生になると、いよいよ大学受験に向けて、現実的な見通しを立てるときがやってきます。夢のなかった私はそのとき、自分は何のために大学に行くのか、何のために勉強しているのか、分からなくなってしまいました。すると、自然に勉強する気がなくなってしまうのです。そこで私は、課題に近い形の夢をなんとか設定してモチベーションを保ちました。しかし、もっと早く夢について考えておくべきだったことは確かです。